酸素(O2)
【性質】
(1)無色・無味・無臭であり、常温常態では気体である。
(2)空気に対する比重は1.105であり、空気よりわずかに重い。
(3)-183℃に冷却すれば大気圧下で液体となる。
(4)化学的に非常に活発な元素であり、ほとんど全ての物質と化合して酸化物を
生成する。
(5)酸素を使用する配管、装置は全て禁油である。可燃物も使用できない。
(6)可燃性ガスと酸素との混合気は、発火しやすく、また、爆発圧力も高い。爆
ごうになることも多い。このような混合気を作らないように注意する必要が
ある。
(7)支燃性ガスには、この他に塩素、酸化窒素、亜酸化窒素(笑気ガス)などが
ある。
【製造方法】
空気の液化分離装置により製造された液化酸素が利用される。
ボンベに充填された酸素ガスは、液化酸素を気化させて、ボンベ詰めしたものである。また、液化酸素貯槽(CE)に貯蔵されている液化酸素を蒸発気化させて、気体酸素が製造される。PSAによる製造も近年は盛んである。
【用 途】
・合成原料ガス製造における炭化水素の部分酸化
・製鋼(転炉、平炉、電気炉への酸素吹込み
・溶接、切断
・酸素吸入
・熱処理
【取扱上の注意】
(1)可燃物の使用は発火事故の原因となるため、可燃性のパッキン・ガスケット
等は使用しない。
(2)容器及び容器バルブに油脂類を付着させ、又はこれらの油脂のついた手や手
袋で取り扱ってはならない。
(3)容器は、汚さないように心掛け、酸素、空気用の容器や弁には、オイル、グ
リース等を付着させないように注意して取り扱うこと。
(4)充填容器等のバルブは静かに開閉すること。
(5)古い配管を酸素用に転用する場合、および新規の配管の使用を開始する場合
には、配管内部を充分に清掃し、油脂類だけでなく鉄さび等の発火の原因と
なるものを完全に除去する。
(6)酸素の廃棄は、バルブおよび廃棄に使用する器具の石油類、油脂類その他の
可燃性の物を除去した後にすること。
(7)廃棄した後は、バルブを閉じ、容器の転倒およびバルブの損傷を防止する措
置(キャップをつける)を講ずること。たとえ、容器が空になってもバルブ
を閉じなければならないが、これは容器の中に空気が侵入し、空気中の水滴
が容器中に蓄積され水分となり、容器が腐食するのを防ぐためである。
【ガス漏れに対する措置】
(1)容器バルブ取付部からの漏洩
容器バルブの取付部からの漏洩を増締めによって止めようとしてはならな
い。酸素を廃棄した後、容器を販売業者に引渡し修理する。
(2)安全弁が作動して大量のガスが噴出した場合
その付近にある火気を消し可燃物を速やかに取除く。この時噴出している酸
素を身体に当てないようにする。その付近に火器や可燃物がなければ危険は
ないので、酸素が噴出してしまうまで放置しておいてよい。
(3)容器バルブからの漏洩
①グランド部からの漏洩
消費中でバルブが開いている時に起こる。バルブを閉めればグランド部か
らの漏洩は止まるが、消費に支障があるので、バルブを閉めてグランドナ
ットの増締めを行う。ガスが止まらない時は容器を販売業者に引渡す。
②充填口からの漏洩
シートパッキンの不良によることが多い。バルブを締めなおせば止まる場
合がある。止まらない場合には、ガスを廃棄して容器を販売業者に引渡し
修理する。
③安全弁からの漏洩
安全弁用ナットを増締めする。ガス漏れが止まらない場合には、ガスを廃
棄して容器を販売業者に引渡し修理する。
【火災発生時の措置】
(1)容器に接続された調整器・ゴムホース等の火災
容器バルブを閉めて消化する。容器バルブが火災のため閉まらない時は、消
化してから直ちにバルブを閉める。
(2)一般火災の発生
火災が発生し延焼の恐れがある時は、容器を安全な場所へ速やかに搬出す
る。容器を安全な場所へ搬出することができない場合は、容器に多量の水を
注水して冷却する。